しおじりったー

長野県塩尻市の非公式ツイッターアカウント @shiojiritter のブログです。

塩尻を襲った大雪を振り返る!

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早いもので2014年も3月となりました。3月最初の雪は大したことがなく安心しましたね。

思い返せば先月2月は雪の片付けで終わってしまったのですが…。

塩尻市の観測によると、2月8日の積雪は48センチ、そこに14〜15日にかけてさらに90センチの雪が積もりました。

ちなみに、気象庁の観測ポイントである松本では11月〜2月の累積降雪量は平均で60センチ。昨冬までの観測史上1位の降雪量は1946年3月3日に観測された78センチだったとのこと。

今回の大雪はその記録を塗り替えるだろう、まさに記録的なものとなりました。

そんな大雪で、除雪作業は難航、交通網は麻痺し、市民生活は大混乱に陥りました…。



塩尻の国道は…

塩尻は古くから交通の要衝として栄えました。

江戸と京都を結ぶ中山道が通り、それに交差するように、北国西街道、三州街道が通っています。

現在、中山道国道20号・19号、北国西街道は郷原街道・国道19号、三州街道は国道153号と名前を変え、物流の大動脈として大きな役割を果たしています。もちろん市民にとっても欠かせない重要な道路です。

重要な道路であるがゆえ、除雪作業の遅さや不備を指摘する声を多く聞きました。特に国道153号は20号に比べ明らかに除雪が遅れ、不陸(デコボコ)となっている期間も長く、迷惑を被られた方も多かったことと思います。


実は、塩尻市を通る国道、それぞれ管轄が違うのです。

  • 国道20号(高出〜塩尻峠)は『国土交通省 関東地方整備局 長野国道事務所 松本国道出張所』。南松本にあります。

  • 国道19号(高出〜新鳥居トンネル)は『国土交通省 中部地方整備局 飯田国道事務所 木曽維持出張所』。日義村にあります。

  • 国道153号(高出〜善知鳥峠)は『長野県 松本建設事務所』。かつての二級国道は県が管理。こちらは松本合同庁舎内にあります。


管轄が違うから対応が違う。これが除雪に差が出た最大の理由なんだろうと思います。いわゆる縦割り行政の弊害。

その一方、大門商店街は県道301号線、つまり県が管轄する道路ですが、市の判断で市が率先して除雪を行ったようです。

我々市民としては国も含めた行政に柔軟な連携を望むほかありませんが、こういった市の判断には光明を見いだせそうです。

f:id:shiojiritter:20150522114241p:plain ※2月17日のえんぱーく前


そのほかにも除雪が進まない要因はありました。

  • 国道19号では14日夜、贄川桜沢付近、鳥居峠付近で雪崩が発生しました。長時間立ち往生する車両や孤立集落の発生、二次災害の可能性もあるところで、国道を開通させるべく最優先の作業だったと思います。

  • 塩尻には、塩尻宿、洗馬宿、本山宿、贄川宿、奈良井宿という中山道5宿と、北国西街道の郷原宿があります。宿場は街道にせり出すように軒を並べており、一様に道幅が狭く歩道がないところも多いです。除雪したとしても、道路脇に雪を寄せることはもう限界でした。

  • 特に国道153号沿いの塩尻宿は東西に広がっています。南側(下り)車線は建物の陰となって陽が当たらず雪が残ります。不陸となった原因の一つでしょう。

  • 近年、塩尻市内の建設業者が減少しており、除雪に不慣れな水道業者にも除雪を依頼せざるを得ませんでした。

このような状況があったことは理解しておく必要があります。今後の対策のためにも。



除雪対策予算は6000万円

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塩尻市平成25年度一般会計及び特別会計予算によると、総額266億5000万円に対し除雪対策には6000万円強が計上されています。

さて、この予算、妥当なのでしょうか。


近隣の市を見ると、

  • 松本市 (978.77km²、24万3000人)は、1億1000万円。

  • 安曇野市(331.82km²、9万6000人)は、5200万円。

  • 塩尻市 (290.13km²、6万8000人)は、6000万円。

面積・人口の規模に対して、塩尻市は予算を確保しているほうだと言えます。


もうひとつ。

全国を見たときに、塩尻市と似たような規模の自治体に北海道恵庭市があります。

札幌市と新千歳空港の中間に位置し、面積は294.87km²、人口は6万8000人。予算は約250億円。塩尻とほぼ同じです。

ただ、累計降雪量の平均が576センチと、塩尻の10倍ほどの雪が降ります。

その恵庭市雪対策計画によると、除雪費用は約3億円。つまり、塩尻の10倍の積雪量に対し、除雪対策予算は5倍なのです。

これからも、塩尻市は予算を確保しているほうだと言えます。


これはあくまで予算の話。

除雪対策 塩尻市8245万円増額』にあるように、実際の費用は大きく膨らみそうです。

とはいえ、塩尻市は除雪対策における予算確保を怠っていないのです。



僕らのまちは僕らの手で

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大雪のあと、塩尻市は公式ツイッターアカウント『長野県塩尻市 建設課』『防災しおじり』を開設しました。

ツイッターの即時性、特に災害時に威力を発揮することは、みなさんもうご存知の通りです。

佐久市大雪の佐久、市長のツイッター活用に称賛の声)が脚光を浴びましたが、塩尻市の柔軟な姿勢も十分に評価できるものです。


また、大雪のあとの初めての週末、多くの『塩尻市職員が歩道を雪かき』に出ていました。ボランティアで、です。

(ただ、これは絶賛の嵐かと思いきや「長靴も履かずやる気が感じられない」「遅すぎる」といった声も。残念なのですが。)


除雪がスムーズにいかず、道路の通行止めや渋滞、バスの運行中止、ごみの収集停止などの不便も多くあったものの、このような対応をしてきた塩尻市役所には称賛の声を送りたい。


そしてなにより、塩尻市民の皆さんの力がとても大きかったことは言うまでもありません。

塩尻に住む、塩尻で働く、塩尻で学ぶ、もっと誇りを持っていいんじゃないかなと思います。

塩尻市役所が動いたのも、市の職員が動いたのも、他ならぬ塩尻市民一人ひとりのがんばりや協力する姿、そして、もっとよくしたいという声が届いているからでしょう。

自分たちのまちは自分たちでよくしていくしかない。

みんなでいいまちを作っていきましょう。



…でも、もう雪はいいですね。